年金生活者支援給付金は、所得が一定基準以下の年金受給者を支援するため、公的年金に上乗せして給付金を支給するものです。
2026年度は、年金生活者支援給付金の給付基準額が昨年度より3.2%の増額となり、月額5620円に引き上げられました。
ただし、老齢年金を受給している方の全員が、月5620円を受け取れるわけではありません。年金生活者支援給付金は、年齢や世帯の住民税課税状況、前年の所得、国民年金保険料の納付状況などによって、対象者や支給額が異なります。
この記事では、2026年度の年金生活者支援給付金について、対象者の要件や所得基準、給付額、申請方法、支給時期などを解説します。
参照:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
「年金生活者支援給付金」は、年金に月最大5620円が上乗せされるもの

年金生活者支援給付金とは、公的年金などの収入やその他の所得が一定基準以下の方を対象に、年金に上乗せして支給される給付金です。消費税率引き上げ分を活用して、年金生活者の暮らしを支援する目的で設けられました。
2026年度は、物価変動に伴い給付基準額が3.2%増額され、2025年度の月額5450円から5620円に引き上げられています。
ただし、月額5620円という金額は、すべての給付金で同じように支給されるわけではなく、給付金の種類によって支給額の決まり方が異なります。
年金生活者支援給付金は3種類ある
年金生活者支援給付金には、次の3種類があります。
| 種類 | 主な対象者 | 2026年度の給付基準額(※) |
|---|---|---|
| 老齢年金生活者支援給付金 | 65歳以上で老齢 基礎年金を受給し、所得要件などを満たす方 | 月額5620円 |
| 障害年金生活者支援給付金 | 障害基礎年金を受給し、所得要件を満たす方 | 1級:月額7025円 2級:月額5620円 |
| 遺族年金生活者支援給付金 | 遺族基礎年金を受給し、所得要件を満たす方 | 月額5620円 |
※2026年度の基準額
参照:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」
老齢年金生活者支援給付金は、保険料納付済期間や免除期間などに応じて金額が変わります。なお、所定の所得基準を少し超える方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。
障害年金生活者支援給付金は、障害等級によって支給額が異なり、1級が月額7025円、2級が5620円です。
遺族年金生活者支援給付金は、所定の要件を満たす場合、老齢年金生活者支援給付金と同額の月額5620円が支給されます。
参照:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
【2026年度】老齢年金生活者支援給付金の対象者と所得基準
老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、「年齢・年金の受給状況」「世帯の住民税」「所得」の3つの要件を満たしている必要があります。
65歳以上で老齢基礎年金を受給している
65歳以上で老齢基礎年金を受給していることが要件の一つです。原則として、老齢基礎年金を受給していない方は、老齢年金生活者支援給付金の支給対象になりません。
一方、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受給している方も、ほかの要件を満たせば対象になる可能性があります。
また、老齢基礎年金を繰上げ受給している場合も、65歳に到達した時点で支給要件を満たしていれば対象になる場合があります。
世帯全員の住民税が非課税である
給付金の請求者本人を含む世帯全員の市町村民税が、非課税であることも要件の一つです。つまり、住民税非課税世帯に該当するということです。
たとえ本人の年金収入が基準額より少なくても、同じ世帯に住民税が課税されている家族がいる場合は、原則として老齢年金生活者支援給付金の対象になりません。
ただし、住民票上の世帯が分かれている場合などは、実際の世帯状況や所得情報に基づいて判定されることがあります。判断が難しいときは、市区町村や年金事務所に確認しましょう。
前年の年金収入とその他の所得の合計が基準以下である
前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計が、所定の基準以下である必要があります。
2026年10月分から2027年9月分までの給付金は、原則として2025年中の所得などをもとに判定されます。
2026年度の所得基準は、次の通りです。
【老齢年金生活者支援給付金】
- 1956年4月2日以後生まれ:合計所得等が82万6500円以下
- 1956年4月1日以前生まれ:合計所得等が82万4100円以下
【補足的老齢年金生活者支援給付金】
- 1956年4月2日以後生まれ:合計所得等が82万6500円超92万6500円以下
- 1956年4月1日以前生まれ:合計所得等が82万4100円超92万4100円以下
1956年4月2日以後生まれの場合、合計所得等が82万6500円を超えていても、92万6500円以下であれば、補足的老齢年金生活者支援給付金を受け取れる可能性があります。
なお、障害年金や遺族年金などの非課税収入は、この判定に用いる年金収入には含まれません。
老齢年金生活者支援給付金はいくら?計算方法をチェック

老齢年金生活者支援給付金は、国民年金保険料の納付済期間と免除期間に応じて計算されます。
保険料納付済期間が長いほど給付額が増える
老齢年金生活者支援給付金の給付額は、次の式で計算します。
月額5620円×保険料納付済期間÷480か月
国民年金の保険料を40年間(480か月)納めた場合、納付済期間に基づく給付額は月額5620円です。
仮に納付済期間が20年間(240か月)だとすると、給付額は2810円となります。
計算)5620円×240か月÷480か月=2810円
国民年金保険料の免除期間がある場合
国民年金保険料の免除を受けていた期間がある場合は、納付済期間に基づく給付額に加えて、免除期間に基づく給付額を計算することになります。
2026年度は、1956年4月2日以後に生まれた方の場合、全額免除・4分の3免除・半額免除の期間について、原則として次の式を使います。
月額1万1768円×保険料免除期間÷480か月
例えば、保険料納付済期間が20年間(240か月)、全額免除期間が5年間(60か月)ある場合の給付額は、月額4281円です。
計算)
- 納付済期間分:5620円×240か月÷480か月= 2810円
- 全額免除期間分:1万1768円×60か月÷480か月≒約1471円
- 合計:月額4281円
なお、計算に用いる金額は、生年月日や保険料の免除区分によって異なります。実際の支給額は、日本年金機構から届く通知書で確認しましょう。
所得が基準を少し超える人は補足的給付金の対象になることも
前年の年金収入とその他の所得の合計が基準を超えていても、補足的老齢年金生活者支援給付金の対象になる場合があります。
補足的老齢年金生活者支援給付金は、給付金の有無によって所得がわずかに増えただけで、かえって手取りが減るような状況を避けるための仕組みです。
補足的給付金の額は、保険料納付済期間に基づく金額に、所得に応じた調整支給率を乗じて算出します。そのため、所得基準の上限に近づくほど給付額が少なくなります。
支給対象になるかを確認する際は、通常の給付金だけでなく、補足的給付金の基準も確認しておきましょう。
日本年金機構「年金生活者支援給付金の金額はいくらですか。」
老後の資金が足りるかどうか不安な場合は、生命保険を活用した準備方法もおすすめです。例えば終身保険なら、保障が一生涯続くだけでなく、死亡時には保険金を受け取れます。また、途中で解約した際も解約返戻金を得られるため、将来の資産形成や相続対策としても有効活用できる点が魅力です。
自分に必要な保障を知りたいときは、保険のプロに相談するのがおすすめです。
障害年金・遺族年金を受給している方も受給できる
年金生活者支援給付金は、老齢年金を受給している方だけの制度ではありません。障害基礎年金や遺族基礎年金を受給している方も、所定の要件を満たせば給付金を受け取れます。
障害年金生活者支援給付金の対象者
障害年金生活者支援給付金が支給されるのは、次の2つの要件を満たす場合です。
- 障害基礎年金を受給している
- 前年の所得が「491万8000円+扶養親族の数×38万円」以下である
なお、扶養親族に乗じる金額は、70歳以上の方や老人扶養親族の場合は48万円に、特定扶養親族や16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円になります。また、障害年金などの非課税収入は、所得判定に含まれません。
日本年金機構「障害年金生活者支援給付金の概要」
遺族年金生活者支援給付金の対象者
遺族年金生活者支援給付金が支給されるのは、次の2つの要件を満たす場合です。
- 遺族基礎年金を受給している
- 前年の所得が「491万8000円+扶養親族の数×38万円(※)」以下である
扶養親族に乗じる金額は、遺族年金生活者支援給付金と同様に、同一生計配偶者のうち、70歳以上の方や老人扶養親族の場合は48万円に、特定扶養親族、や16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円になります。
遺族年金などの非課税収入は、所得判定に含まれません。
なお、遺族基礎年金を2人以上の子どもが受給している場合は、給付基準額を子どもの人数で割った金額がそれぞれに支給されます。
障害・遺族年金生活者支援給付金では、老齢年金生活者支援給付金とは異なり、世帯全員の住民税が非課税であることは要件とされていません。
日本年金機構「遺族年金生活者支援給付金の概要」
年金生活者支援給付金の申請方法

年金生活者支援給付金は、対象要件を満たしていても、原則として自分から請求手続きを取る必要があります。
対象者であれば自動的に振り込まれるとは限らないため、申請方法を確認しておきましょう。
すでに年金を受給している方は請求書を提出する
すでに老齢・障害・遺族基礎年金を受給している方で、新たに給付金の対象となる場合は、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されることがあります。例年、9月1日から順次送付されています。
手続きを進める手順は以下の通りです。
- 請求書に氏名などの必要事項を記入する
- 同封の案内に従い、郵送または電子申請で提出する
- 日本年金機構による審査結果を確認する
はがき型の請求書は、必要事項を記入し、同封の目隠しシールを貼って郵送する方法が基本です。電子申請の対象となる方は、マイナポータルとねんきんネットを連携して手続きすることも可能です。
なお、請求書を紛失した場合や届かない場合でも、支給要件を満たしている可能性があります。日本年金機構や年金事務所に問い合わせ、必要な手続きを確認しましょう。
これから年金の受給を始める方は同時に請求する
これから老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の受給手続きを行う方は、年金の請求とあわせて年金生活者支援給付金の請求手続きを行います。
年金の受給手続きをする際に、給付金の対象となるかどうかも確認しておくと安心です。
申請しないとどうなる?
年金生活者支援給付金は、対象者であっても請求手続きをしなければ、通常は給付金を受け取れません。
給付金は、原則として請求月の翌月分から支給となります。そのため、申請が遅れると、本来受け取れるはずだった給付金の受給開始が遅れる可能性があります。
請求書がお手元に届いたら、早めに手続きを済ませましょう。
公的年金だけでは老後の生活費が足りるか不安な場合は、個人年金保険や終身保険などの活用も検討しましょう。個人年金保険なら公的年金で不足する分をカバーできる可能性があります。終身保険は、死亡時に保険金を受け取れるほか、途中で解約した際も解約返戻金を得られるため、将来の資産形成としても有効活用できます。
保険について詳しく知りたいときは、プロに相談するのがおすすめです。
年金生活者支援給付金はいつ振り込まれる?
年金生活者支援給付金は、基礎年金に上乗せして支給されるため、偶数月の原則として15日に、前月と前々月の2か月分が振り込まれます。例えば、10月分と11月分の給付金は、12月中旬に支給されるということです。
なお、15日が土日祝日の場合は、直前の金融機関営業日に支給されます。
請求後に支給が決定すると、日本年金機構から支給決定通知書が送付されます。受け取った際には、忘れずに支給額や振込先を確認しておきましょう。
なお、すでに給付金を受け取っており、引き続き支給要件を満たしている方は、原則として毎年申請する必要はありません。ただし、世帯構成や所得状況が変わった場合などは、確認や手続きが必要になることがあります。
年金生活者支援給付金についてよくある質問
ここからは、年金生活者支援給付金についてよくある質問について回答していきます。疑問や不安の解消にお役立てください。
年金収入が月7万円でも対象になりますか?
年金収入だけで対象かどうかは判断できません。
年金収入が月7万円の場合、年間の年金収入は84万円です。しかし、老齢年金生活者支援給付金では、65歳以上で老齢基礎年金を受給していること、世帯全員が住民税非課税であること、前年の年金収入とその他の所得の合計が基準以下であることなどが必要です。
年金以外の所得や世帯の課税状況も確認しましょう。
年金生活者支援給付金は非課税ですか?
「年金生活者支援給付金の支給に関する法律」に、年金生活者支援給付金は非課税であり、所得税などの課税対象となる所得には含まれない、と定められています。
ただし、給付金の対象者を判定する際には、給付金そのものとは別に、前年の公的年金等の収入やその他の所得などが確認されます。
厚生労働省「年金生活者支援給付金の支給に関する法律(◆平成24年11月26日法律第102号)」 第33条
年金生活者支援給付金の問い合わせ先は?
年金生活者支援給付金について確認する方法には、以下のものがあります。
- 日本年金機構の給付金専用ダイヤル:0570-05-4092
- お近くの年金事務所
問い合わせの際に、基礎年金番号や「年金生活者支援給付金請求書」などを準備しておくとスムーズに相談できます。
年金生活者支援給付金の通知が届いたらすみやかに手続きをとりましょう

2026年度の年金生活者支援給付金は、給付基準額が月額5620円に引き上げられました。
年金生活者支援給付金には老齢年金・障害年金・遺族年金の3つがあり、受給するにはそれぞれ所定の要件を満たしている必要があります。
また、月額5620円はあくまでも基準額であり、老齢年金生活者支援給付金の実際の金額は、保険料納付済期間や免除期間などによって異なります。
年金生活者支援給付金は、支給要件を満たしていても、原則として請求手続きが必要です。日本年金機構から請求書が届いた方は、内容を確認して早めに提出しましょう。
